鎌倉山 四季の風音 |
![]() |
2024年9月16日 鎌倉山 初秋の風物詩 |
いつの頃からか、 もうずいぶん昔のことになりますが、 この庭でお客様とともに お月見を楽しむのが恒例となりました。 この時期が近づくと、お供物を美しく飾り、 肝心の中秋の名月を待ちながら、 その夜の天候を案じる日々が続いております。 お月見のお供えは、 秋の彩り豊かな食材で華やかに飾り、 五穀豊穣と秋の収穫へ感謝を込めて、 庭の中央に堂々と据えます。 年によって異なりますが、 お供えの脇に備えるススキが 大きく逞しい姿を見せると、 やはり満月の夜が待ち遠しく感じるものです。 まだ夏の余韻が残る空気の中、 月明かりに照らされ、秋風に揺れるススキは、 強烈な夏の景色とは異なり、 穏やかで優美な趣を漂わせます。 ススキには、悪霊や災いから収穫物を守り、 翌年の豊作を願う心が込められています。 ちょうどお月見を楽しむ頃、 月は、お供えの背景に、 2時の方向に浮かんでいます。 お食事を終えた後、 お庭で月を愛でながら、お茶を楽しむのです。 この庭と隣接する林は、樹種豊かで、 自然本来の姿が残されています。 風に揺れる木々の葉音や、 秋を告げる虫たちの囁きに包まれながら、 お客様が月光を浴びて寛ぐ光景は、 鎌倉山ならではの 四季の美しさを味わうひとときでしょう。 とてもロマンチックな時間です。 毎年、この光景に身を置けることが、 私にとっても幸せです。 |
![]() |
そんなロマンチックな時間に、 少しばかり子供じみた遊びを楽しむのです。 秋の鎌倉山の風物詩ともいえるでしょう。 この遊びは、お月見の際にお供えの茄子を使います。 お庭に悠々とそびえる 萩の枝をお切りいただき、 お客様にその枝で茄子に穴をあけていただき、 その穴越しに夜空に浮かぶ月をご覧いただきます。 茄子の穴から、どんな月が見えるのでしょうか? ぜひご来店いただき、秋の鎌倉山を愛でください。 いつもご愛顧いただき、心より感謝申し上げます。 まだ暑さが残る日々ですが、 季節は確実に秋へと向かっています。 この秋が皆様にとって、夏の厳しい疲れを癒し、 快適で穏やかな日々を迎えられるよう 心からお祈り申し上げます。 |
ローストビーフの店 鎌倉山 本店 店長 菅野明広 |
![]() |